便秘薬 マグネシアのウンチク
- 活性酸化マグネシウムと水酸化マグネシウム
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マグネシウムの便秘薬にもいくつか種類があります。
代表的なのは、酸化マグネシウムと水酸化マグネシウムです。
その違いは、一言で言うと水を集める力の大きさ!酸化マグネシウムの化学式は
一方、水酸化マグネシウムの化学式は
つまり、酸化マグネシウムは、水酸化マグネシウムに比べて50%も多くのマグネシウムが
含まれているのです。だから水を集める力も1.5倍!!3Aマグネシアは、酸化マグネシウムのお薬です。
さらに3Aマグネシアの酸化マグネシウムは、特殊な活性酸化マグネシウム!
通常の病院などで処方される酸化マグネシウムよりも、水を集める力の強いマグネシウムなのです。
- マグネシウム便秘薬の効き方(作用機序)
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酸化マグネシウムの一部は腸から吸収されて体に取り込まれます。
これは食事に含まれているマグネシウムと同様、必須ミネラルとして、必要な分が小腸から吸収されます。しかし大半のマグネシウムは、消化されなかった食べ物の滓と同様、排泄のために、大腸に行きます。
大腸に来たマグネシウムは、水を集めるという性質を活かして、腸から水分を引き出し、便に水分を含ませて柔らかくしたり、かさを増やしたりします。これが排便を促すことになるのです。
このように、マグネシウムは大腸にとどまって排泄されるまでの間に、便秘薬としてのお仕事をしているのです。
- マグネシウム 栄養素と便秘薬 どう違う?
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厚生労働省によると日本人(成人男子)の1日あたりのマグネシウム必要量は370mg。
それに対して、食事から摂取しているマグネシウムは270mg。1日あたり約100mgのマグネシウムが不足していることになります。
便秘薬のマグネシウムの一部は、腸から吸収されて、栄養素として体の中で働きます。
(マグネシウム便秘薬の効き方 参照)
腸で吸収されなかったマグネシウムの一部が、大腸で便秘薬としての働きをするのです。
- マグネシウムは大腸ガン予防に?
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便秘解消は大腸がんの予防に繋がることは、よく知られていますが、マグネシウム自体にも大腸がんの予防になるという研究が、現在進められています。
岐阜大学大学院の久野寿也准教授のグループは、大腸に炎症を起こさせ大腸がんを発症しやすくさせたマウスに水溶性マグネシウムを与えたところ、大腸がんの発症が抑制されたという、研究を発表しました。
久野准教授によると、「潰瘍性大腸炎などに由来する大腸がんの抑制に有効で、人でも検証したい」とのことです。
- マグネシウム摂取は糖尿病予防にも
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マグネシウムは、糖が分解される際に、無くてはならない物質です。体内での様々な物質代謝にマグネシウムは関わっていると言われています。マグネシウムの慢性的不足は、糖尿病を悪化させる要因にもなります。
九州大学の研究グループが長年にわたって行っている大規模疫学調査「福岡県・久山町研究」によると、1日あたりのマグネシウム摂取量が増加するに従って、2型糖尿病の発症率が低下していることが、確認されました(第55回日本糖尿病学会年次学術集会)。
- 昔から使われているお薬 昔って? 実は明治4年
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明治4年。当時の薬種仲買商、近江屋が輸入した医薬品リストの中に、酸化マグネシウムが含まれていました。日本で最初に輸入された西洋薬の中に、酸化マグネシウムは含まれていたのです。
便秘あれこれ
- 便秘と痔は表裏一体
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肛門は皮膚、その手前の直腸は粘膜で出来ています。肛門と直腸の境目・つなぎ目は、皮膚と粘膜が接する非常にデリケートな部分であり、そこを便が通るので、とてもトラブル(=痔)がおこりやすいのです。
痔にも様々なタイプがあり、直腸(粘膜部分)に出来た痔は内痔核、肛門(皮膚)に出来る痔は外痔核と言います。粘膜には神経が無いので、直腸に出来る内痔核には、痛みを伴いませんが、排便時に便がこすれて出血するようになります。
それに対して肛門に出来る外痔核は、強くいきんだり、お酒を飲み過ぎた後などに突然出来て腫れます。また肛門は皮膚なので、知覚神経が集中しており、強い痛みを感じます。この痛みを避けようとして便を出すのを怠けると便秘になり、ますます便を硬くさせます。無理して排便しようとすると、さらに痔を悪化させたり、傷つけたり、場合によっては肛門の皮膚が裂かれて、切れ痔(裂肛)を起こすこともあります。痔には様々な種類があります。その原因もいろいろですが、直接的にも間接的にもほぼ共通している原因の1つは、便秘です。便秘を解消すれば、全ての痔は治るというわけではありませんが、便秘を解消せずして、痔の完治はないと言ってよいでしょう。
非刺激性便秘薬3Aマグネシアは便を柔らかくするお薬。痔になったときにも、優しく排便のお手伝いをします。またクセになりにくいので、日頃から排便の習慣、リズムを付けることで、痔の予防にも役立ちます。
- 便秘すると頻尿に?
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3Aマグネシアの効果的な服用方法は、コップ一杯の水で飲むこと。普段から心掛けてこまめに水分補給を行うことは、便秘予防にも必要なことです。
しかし高齢者の方には、夜、何度もトイレに行くのが面倒なので、あまり水分を摂りたくない、という方もいらっしゃいます。
しかしチョット待ってください。実は頻尿も便秘が原因という場合もあるのです。
便が滞留する直腸や、尿路の最終部分である膀胱・尿道、さらに女性の場合は子宮も、骨盤という限られたスペースの中に納まっています。
便秘になると直腸の中に糞便が溜まるため、腸管の隆起を起こし、その直前に位置する膀胱の出口に近い頸部を圧迫刺激するため、頻尿を誘発しやすくなるのです。便秘が強いほど、膀胱への圧迫も強くなるので、排尿困難を誘発しやすくなります。
さらに膀胱からの尿の排出に支障をきたすと、細菌が尿道から膀胱に逆流し膀胱炎を引き起こし、それによって尿路への刺激が強くなり頻尿がさらに悪化することもあります。
頻尿の原因は全て便秘というわけではありませんが、便秘解消によって頻尿が解消するケースも多くあると考えられます。
- 妊婦さんと便秘
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妊娠中は、便秘を訴える人が多くいます。たとえば1週間に1回という方も時には見かけられます。
妊娠中は胎盤からプロゲステロンというホルモンが大量に分泌されます。このホルモンは平滑筋の動きを抑制する作用があるので、平滑筋である消化管の筋肉の動きがどうしても鈍くなりがちで、食べ物が腸管を通過する時間も妊娠中は長くなります。妊娠中の便秘はむしろ生理的な現象とも言われています。
刺激性下剤(ビサゴジル、センノシド、プルセニドやアローゼン)は、腸を直接刺激して腸の運動を活発化させます。強力ですが、早産や流産の危険性を伴います。
3Aマグネシアは、酸化マグネシウムを主成分とした便秘薬で、昔から産婦人科の医師が、妊婦さんに処方していた、比較的安全性の高いお薬です。しかし、妊娠中はデリケートな時期なので、主治医の先生と相談の上、ご服用ください。
- 授乳中の便秘
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赤ちゃんをケアするお母さんは、過労や睡眠不足などで、生活が不規則になりがち。便秘になる方も、沢山いらっしゃいます。しかし授乳中の便秘薬は、気をつけなくてはなりません。生薬成分(大黄、アロエ、麻子仁丸等)のお薬は、成分が母乳に移行して赤ちゃんの便も緩くするので、避けたいものです。しかし酸化マグネシウムの場合、大半は吸収されずに排泄されてしまいます(便秘のウン蓄参照)。一部吸収されたマグネシウムも、それは必須栄養素として吸収されたものなので、赤ちゃんの便に影響を及ぼすことは、ほとんど考えられません。
- 高齢化と便秘
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高齢になるとどうしても便秘がちになります。まず考えられる理由は、筋力の低下。
高齢者の方は、若い人達以上に「便秘にならない習慣を作ること」が必要です。腸の周りにある腸腰筋(ちょうようきん)や、骨盤底筋群は、排便力にとって重要な筋肉です。日頃から腹筋運動を心掛けるのは必要なことです。そのほか、繊維質のものを食べる、規則正しい食生活なども求められますが、それでもどうしても便秘解消が出来ない方には、定期的に安全な便秘薬を服用することも必要です。その場合、刺激成分が含まれている便秘薬を継続使用することは、腸管粘膜を傷つける可能性が高いので、避けた方がよいでしょう。
酸化マグネシウムの便秘薬(3Aマグネシアの主成分)は、刺激が少なく、安全性が高く、また継続的に使用していても、体への負担が少ないので、そうした定期的に服用する高齢者のニーズにもぴったりの便秘薬と言えます。
- 究極の便秘解消 浣腸???
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お腹が痛くなりにくい便秘薬3Aマグネシアでも、残念ながら効果が期待できないタイプの便秘もあります。それは硬くなってしまった便が、出口を塞いでしまっているような便秘です。その場合は、浣腸をするか場合によっては、病院で固まった便を掻き出してもらうしか方法がありません。
その意味で、浣腸は究極の便秘解消の手段かも知れません。しかし筋力の低下などで排便力の低下した高齢者の中には、せっかく浣腸してスッキリした後でも、また便秘になり、浣腸の助けを借りて排泄、そして便秘、浣腸という悪循環を招いている方も少なくありません。浣腸には、蠕動運動を誘発させる刺激成分が含まれ、習慣化すると刺激に対する麻痺が強まったり、直腸粘膜にダメージを与える危険性もあります。また、浣腸は体力の消耗も激しく、ご高齢の方には負担の大きな治療法です。
便秘-浣腸-便秘-浣腸という悪循環から脱却する方法として、浣腸をして滞留便を出してスッキリさせた後は、刺激が少なくてクセにもならない3Aマグネシアを服用して、排便のリズムを取り戻して行くことを、お勧めします。
腸の話
- 消化のための、広大な器官。全長7m 襞を広げるとテニスコート一面分
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腸は食べたものを滞りなく運びながら、小腸で消化された栄養分や水分を体の中に取り込み(吸収)、大腸で食物の残り滓や老廃物で便を作り、排泄を行います。小腸・大腸を含めた腸の長さは7~9メートルもあります。
また腸には無数の襞があり、これを広げるとテニスコート1面は優に超える面積になります。こうした広大な器官で、食べ物は消化・吸収され、その残渣で便が作られ、最終的には肛門に送り込んで排出されるのです。
- 人体最大の免疫器官
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広大な器官である腸には、数多くの細菌が生息しています。これを腸内細菌と言い、100種類、100兆個以上あると言われています。この腸内細菌のバランスが、人間を様々な病原菌から防御する、免疫機能を支えていることが、近年の研究で明らかになりました。便秘は一種の腸内細菌のバランスが崩れていることの表れです。たかが便秘、されど便秘。便秘解消を心掛けることは、免疫機能を高めることにもつながり、それは健康にとって身近な、しかし大切な一歩といえます。
- 腸は第2の脳
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腸は、ヒトの体を守っているリンパ球の60%が集まる、最大の免疫組織です。また、首から下の神経の50%以上が集まる最大の末梢神経組織が集中し、体の中の毛細血管などの小さな血管の55%が腸に集まっています。さらにまた生体内で最大のホルモンを産生している事が、示されました。すなわち腸は「第2の脳(second brain)」と呼ばれるほど複雑な組織である事が明らかとなったのです(日本消化器学会HPより)。
食物の消化・吸収と排泄だけではなく、体全体を健康に保つための中枢機能が集中しているのです。
それだけに、大切な腸に末永く頑張って働いてもらうためにも、便秘を起こすことなく、余分な便はなるべく早く排泄してあげたいものです。
やさしく 詳しく 便秘のお話
- どうして便秘になるのか 便秘の原因
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消化されなかった食べ物のかすや老廃物は、お粥のようなドロドロの液体状になっています。これが便の最初の状態です。それが腸の中を進んでいく中で、水分が吸い取られ、次第に便として硬さを増して行きます。もともと、腸の内部は乾きやすいという性質があると言えます。便秘はこのように、腸の水分が少なくなることと強く関係しています。
口から入る食べ物・飲み物の水分は1日約2リットル。それに、胃腸から分泌される消化液が加わりますので、大腸にはかなり大量の水分が流れこみます。その水分の大半は、大腸を通過する際に吸い取られて、食べ物の残りかすが適度な硬さの塊になります。大腸内から吸い取られる水分が少し増え、大腸内部が乾き気味ななるだけで、便も固くなり、便が滞る原因となります。それが繰り返されるのが便秘です。
- 排便のしくみ
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消化されなかった食べ物や塩分、水分、腸内細菌の死骸、腸の粘膜の細胞がまとまって排出されるもの、それが便です。
人間は社会生活を営むために、排便のタイミングを極めて高度にコントロールしていると言えます。便の垂れ流し状態では、社会は成り立ちません。どのようなコントロールを行い排便を行っているのか、簡単に説明します。
- 消化管の旅
食物は、口で咀嚼されてから食道→胃→小腸へと次第におりて行き、そのカスが便となって、最後は大腸→直腸→肛門を経て排便されます。口から肛門までの1つのつながった器官を総称して消化管と言います。ちなみに消化管ではさまざまな部位で消化液が分泌され、消化・吸収の手助けを行っています。
食物の栄養物は消化液によって、ドロドロの液体となり、主に小腸で体内に吸収されます。ここで吸収されなかったカスが、大腸を進む中で水分が吸い取られ固まって行きます。正常な場合は、前日に食物のカスが便となって翌日、大腸の後半部分である下行結腸にたどり着きます。このスピードが遅いと、水分が吸い取られすぎて便が硬くなり、便秘を引き起こします。逆にこのスピードが速いのが下痢です。 - 大切な胃結腸反応
便は下行結腸にまでたどり着きました。排便まではもうすぐです。ここまで来た便が無事排泄されるためには、自律神経の様々な働きが作用しています。睡眠から目覚めたあと、朝食を摂ったり冷たい水を飲むことで胃が刺激されると、強い電気が発生しそれが大脳→脊髄を経由して腰部→骨盤内神経へと刺激を伝え、そこで下行結腸を収縮させ便を一気に直腸まで進めて行きます。この一連の動きを胃結腸反応と言います。なお、高齢者においてはこれら自律神経の働きおよび胃結腸反応が鈍化し、直腸まで便が到達しにくくなることも、多々あります。 - 来たゾ!便意
直腸に便がたどり着くと、再び自律神経の働きで、今度は逆のルート、すなわち直腸→骨盤内神経→脊髄→大脳にまで刺激が伝わり、それが便意となるわけです。そこで便をする状況にあるとき、トイレに行き息むと脳から肛門の内側の筋肉を開く指令が出て、めでたく排便が行われます。しかし、トイレにいない場合など、便をする状態でないときには、肛門の外側の筋肉を使って排便を我慢します。そして、トイレに入り排便ができる体制になったときに、はじめて肛門の外側の筋肉をゆるめる指令が脳から出て、同時におなかに力を入れる指令が起こるのです。健康的な成人であれば、こうした調節は正常に行われますが、子供や自律神経の働きが弱った高齢者などは上手く調節が出来ない場合もあり、些細なことがきっかけで排便が困難になりり、それが便秘の原因となります。 - 逃がすな!15分間のチャンス!
「来たな!便意!!!」。便意を感じている時間は5~15分程度と言われています。それを過ぎると便意は次第に薄れてゆき、いつの間にか無くなってしまいます。しばらくすると、再び便意を感じ、それもまた暫くすると・・・。便意にはこうした波があることは、感覚的な経験でおわかりかと思います。しかしこの便意を我慢し続けていると、徐々に自律神経の働きが鈍り、直腸からの信号をキャッチすることが困難になり、便秘を引き起こす原因になります。
便意を我慢することは、正常な排便習慣にとっては大きなマイナスとなります。
また、一般的に男性よりも女性の方が便秘になりやすいのは、社会生活において女性の方が便意を我慢することが多いためではないか?とも言われています。
睡眠から目覚めた朝は、身体の至る所にスイッチが入るとき。便意もこの時に併せてもよおしやすくなります。このタイミングを逃がさない手はありません。
- 消化管の旅
- 便秘とは? 排便の回数ではきめられない便秘
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Aさん:3日に1回しか排便しないけど別に何ともない。
Bさん:毎日排便があるけど、なんかすっきりしない。この両人は便秘なのでしょうか?結論的に言うと、Aさんは便秘では無く、Bさんは便秘と考えられます。
便秘は1日1回が理想ではありますが、排便の回数で単純に決められるものではありません。3日に一度でも、残便感がなく本人も満足であるなら、それは便秘とは言えません。逆に毎日排便があっても、残便感やお腹が張って不快感があれば、それは便秘と考えられます。
とはいえ、食物は通常、30~120時間で消化・吸収され、便となって排泄されるので、5日以上排便が無いときは便秘と考えられます。
一般的に便秘は、排便回数や排便間隔、または硬さなどの状態、排便時の感覚、残便感、お腹の張りなどで診断されますが、統一的見解的な定義・基準があるわけではありません。
日本消化器学会では「排便が数日に一回程度に減少し、排便感覚不規則で便の水分含有量が低下している状態(硬便)を指すが、明確な定義があるわけではない」としています。したがって、便秘とは「自分で満足できる排便が無い状態」を指す、という専門家の先生もいます。
- 便秘の種類
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便秘も様々な種類があります。
- 大腸や直腸の働きの異常による「機能性便秘」
最も多いタイプの便秘です。生活習慣やストレス、加齢などの影響を受けて、大腸や直腸・肛門の働きが乱れる結果、起ります。さらにこの便秘は3つのタイプに分けられます。- 弛緩性便秘
大腸は、その内容物(食べ物の残りかすなど=便)を蠕動運動によってコロコロ転がし、その過程で少しずつ水分は便から減少して行き、腸へと運ばれます。大腸を動かす筋肉が緩んで、蠕動運動が弱まると、なかなか便が運ばれないために便秘になります。高齢者が便秘しやすい原因の一つです。また、朝食をとらなかったり、運動不足などの乱れた生活習慣による便秘も、これに該当します。 - 痙攣性便秘
大腸の蠕動運動に連続性がなくなり、便の通過に時間がかかり過ぎて起こる便秘です。ストレスの影響が強いと考えられています。 - 直腸性便秘
運ばれてきた便が大腸から直腸に入ると、直腸のセンサーが働き便意をもよおします。そこでトイレに行くと、ふだんは肛門を閉めている肛門括約筋が緩み、排便に至ります。ところが、便意を習慣的にがまんしていると神経の感度が鈍って、直腸に便が入っても便意を催さなくなります。女性が便秘しがちな理由の一つです。また最近、温水洗浄便座の水を肛門の奥まで入れるために神経の感度が鈍り、便秘になる人が増えています。
- 弛緩性便秘
- 便の通過が物理的に妨げられる「器質性便秘」
大腸がんや手術後の癒着、炎症性疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)などのために、大腸の中を便がスムーズに通過できずに起こる便秘です。女性で、直腸の一部が腟に入り込んでしまう直腸瘤も、よくある原因です。このタイプの便秘では、まず元の病気を治すことが基本です。 - 全身の病気の症状として起こる「症候性便秘」
甲状腺機能低下症や副甲状腺機能亢進症では大腸の蠕動運動が弱くなり、便秘がちになります。いずれも女性に多い病気です。女性の場合、病気とは別ですが、生理や妊娠中にホルモンの影響で便秘になりやすくなります。このほか、神経損傷や糖尿病の合併症などで、神経の働きが不調になった場合も、このタイプの便秘が起こります。 - 別の病気の薬の副作用で起こる「薬剤性便秘」
抗うつ薬、抗コリン薬(風邪薬、ぜん息や頻尿、パーキンソン病などの薬)、せき止めなどは大腸の蠕動運動を抑えるので、副作用で便秘になることがあります。
- 大腸や直腸の働きの異常による「機能性便秘」
- 便秘がもたらす悪循環、諸症状
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「たかが便秘」と甘くみていると、大腸の中で滞留したままの便がますます硬くなり、症状が余計ひどくなる「便秘の悪循環」が生じてしまいます。さらには次のような「便秘の合併症」とも言える弊害が生じてきます。
- 痔
便秘のために便が硬くなると排便時に肛門を傷付けやすくなります。また、いきみによりいぼ痔も大きくなり、排便時に出血します。肛門の痛みや出血のおそれのために便意をがまんしていると、便がさらに硬くなり、状態はますます悪化してしまいます。 - 脱肛、直腸粘膜脱
便が硬くて排便時にいきむこと で痔 核の血管が膨れ、痔核が次第に肛門の外に出てきます(脱肛)。これが繰り返されると、直腸の粘膜も一緒に肛門外へスライドしてきます(直腸粘膜脱)。糞便塞栓症便が直腸内に溜まって固まり、指や器具でかき出さなければならない状態です。このとき、直腸の粘膜と便のわずかな隙間から液状の便が漏れてきて、下痢と間違われることがあります。 - 大腸の潰瘍・穿孔、腹膜炎
大腸内に便が滞っていると、潰瘍ができたり、まれには穴があいて(穿孔)、そこからおなかの中に便の細菌が広がり、腹膜炎になることがあります。 - その他
便秘と肌荒れが関係していることは多くの 女性が実感されているのではないかと思います。高齢者の場合、認知機能障害(認知症)のような症状が便秘のために現れる ことも少なくありません。これらは、大腸のバリア機能(便中の腐敗物質や細菌な どが体内に侵入するのを防ぐ機能)が、便秘のために破綻する結果と考えられます。
痛みをおそれて排便を我慢するようになると、便秘はますますひどくなり、硬い便によってまた切れてしまうという悪循環に陥ってしまいます。切れ痔が慢性化すると、皮膚の突起物(見張りイボ)やポリープができたり、肛門が狭くなる「肛門狭窄」という状態になったりすることもあり、そうなると便はさらに出にくくなります。肛門狭窄になると手術が必要になるため、早めに適切な治療を受けることが大切です。切れ痔を治すことも大切ですが、切れ痔の原因となる便秘を改善することがもっとも重要です。
- 痔
- さよなら便秘
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便秘と決別するためには以下の点がポイントになります。ひとつづつ説明してゆきましょう。
- 生活リズム
毎日決まった時間に排便が続くのは、とても気分の良いものです。特に朝の排便は、1日をスムーズにスタートさせ、テンポの良く過ごせる予感がします。排便は生活のリズムに組み込まれている、重要な要素。スムーズな排便はいきいきとした日々の生活のリズムにとって不可欠。そして生活のリズムが崩れれば、スムーズな排便は難しくなります。生活リズムと排便は表裏一体の関係と言えましょう。 - 食生活と睡眠
生活リズムの基本は、なんといっても食事と睡眠。人間には体の機能がスムーズに働かせるための、いわゆる「体内時計」のようなものが備わっています。定期的な食事と睡眠の反復は、腸の働きを規則的にさせ、毎日決まった時間での排便を促します。「体内時計」を正確に動かす原動力が、食事と睡眠であるといっても過言ではありません。食事に関しては、1日3食、特に朝食がとても重要です。その理由は腸の活発なぜんどう運動は、朝、胃腸にものが入ることによってひきおこされるからです。 - 運動
便秘解消に運動は絶大な効果があります。運動は年齢やひとそれぞれの職業や生活環境によって、必要とされるメニューはそれぞれです。しかし便秘対策に有効なのは、シンプルなウオーキングです。ウオーキングは腸を刺激し、蠕動運動を活発にさせたり、血流の促進や発汗により新陳代謝やストレスの発散を促すからです。また足腰の筋肉ばかりでなく、腹筋や背筋も維持・強化にも役立ち、それらは排便の際の力助けになることは言うまでもありません。
- 生活リズム
- 便秘薬について
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便秘薬は大きく分けると、刺激性と非刺激性があります。
刺激性便秘薬は、刺激成分が腸を直接刺激して、腸の蠕動運動を促す便秘薬です。即効性の効果はありますが、急激な腹痛と便意を伴うこともあります。また刺激成分ゆえに、常用習慣性(クセになる)を引き起こし、次第に服用量が増えてしまうことや、大腸管を傷つけ、大腸粘膜症を引き起こす原因にもなります。
刺激性便秘薬の代表的な成分としては、ビサゴジルが挙げられます。またセンナ、センノシド、ダイオウ、甘草、アロエなど、これら漢方系の成分が使用されている便秘薬も刺激性に含まれます。
日本国内のドラッグストアで、多く売られているのは、刺激性便秘薬で、そのシェアは約7割にも達します。それに対して、非刺激性便秘薬は刺激成分を含まない便秘薬です。塩類下剤といわれるものが多く、代表的なのものは酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムです。これらはマグネシウム(塩類)の浸透圧を利用して、腸に水分を集め、排便を促す便秘薬です。刺激成分を含まないので、腹痛も伴いにくく、また服用量が増えたり、クセになったりすることがないのが、大きな特徴です。そのほか、腸内細菌による麦芽糖分解で発酵ガスを発生させることによって排便を促す便秘薬もあります。
近年はこうした非刺激性便秘薬に対する注目が高まっています。
- 酸化マグネシウムについて
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- 日本最初の西洋薬のひとつ
非刺激性便秘薬のなかで、近年、注目されているのが酸化マグネシウムを主成分とした便秘薬です。カマまたはカマグとも呼ばれ、調剤薬局での処方箋薬として使用されてきました。かつては粉末製剤でオブラートに包んで服用するのが主流でしたが、錠剤化されたことにより手軽な服用が可能になり、現在ではドラッグストアの棚にも数多くの種類が並ぶようになりました。
酸化マグネシウムの日本での歴史は古く、幕末期に最初に輸入された西洋薬リストにも記載されており、長い間、日本人には慣れ親しんだ製剤とも言えます。 - 水を集めるからおなかに優しい
酸化マグネシウムの便秘薬としての特徴は、おなかに優しいということ。刺激成分を含まないので腸を刺激することもなく、おなかが痛くなりにくい。酸化マグネシウムが腸内で浸透圧を利用して、腸に水分を集めることで排便を促すのが、酸化マグネシウムの作用です。
水分は人間にとって必須のものです。口から摂った水分は消化管を通過しながら消化管の外側(実は体の内部)に染み込み、生命維持の重要な働きをいたるところで行います。したがって大腸はとても水分が逃げやすく、乾燥しやすい状態にあります。大腸に水分が不足すると、便はコチコチになり便秘を引き起こします。
「便秘は腸の水不足」、といわれるように腸の水分不足は、良好な排便環境にとって大きなマイナス条件になります。 - 吸収されにくいお薬
酸化マグネシウム製剤は、他の薬剤(便秘薬・胃腸薬・風邪薬に限らず)とは、その働き方、つまり作用機序が大きく異なります。一言でいえば、吸収されないで効き目を発揮する薬ということです。食べ物を摂取する口から食道、胃、小腸、大腸、肛門は、消化管と言い、1本の管で繋がっています。その意味で、食べものが通る消化管のなか側それ自体は、カラダの外側にあることになります。栄養素や薬剤は消化管を通過する際に、特に小腸において徐々に消化管の外側、すなわちカラダの内部に吸収されてゆきます。
熱や痛みを和らげる解熱鎮痛成分や、菌と戦う抗菌成分などほとんどの薬剤は体内に吸収されて、薬剤としての働きをします。
それに対して、酸化マグネシウムは、腸内でマグネシウムイオンになっても、栄養素として僅かな分量以外はほとんどカラダに吸収されません。大便の材料となる食べ物の残り滓と一緒に大腸に運ばれ、そこで水を集めるという働きをします。このように吸収されないで、薬剤としての働きを行うという、大変珍しい薬剤が酸化マグネシウム製剤の大きな特徴です。 - 酸化マグネシウム、吸収されない、母乳に移行しない
酸化マグネシウムは、このように吸収されない薬剤であることから、いくつかのメリットがあります。吸収される薬剤は、最終的には肝臓での代謝・分解を経て体の外に排泄されますが、その過程がないので体に負担をかけることはありません。吸収されないので、母乳に移行することもない。刺激性便秘薬の成分であるセンナ、センノシド、ダイオウ、アロエ等は母乳への移行があるので、授乳中は注意が必要とされています。
このように酸化マグネシウムは、おなかに優しい優れた便秘薬であることから、近年注目を集めているのです。
- 日本最初の西洋薬のひとつ
便秘いろいろ
- トイレウオシュレット(電気温水便座器)の使いすぎに注意
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排便後にウオシュレットを使うのは、いまや一般的なことといえます。家庭内はもとより、公共施設や鉄道、航空機のトイレなど、いたるところに設置されています。
排便後の肛門を清潔に保つ上で、とても有用な物であることに変わりはありませんが、使用方法を誤るとこれは便秘の原因になります。
人間の感覚、運動を司る神経には、自分の意思でコントロールできる運動神経と自分の意思ではコントロールできない自律神経があります。便意を感じるときに働く内肛門括約筋は自律神経に支配されています。朝、水分を摂ったり運動をしたりすることで、便意は、朝起きたときに水を飲んだり運動したりする生活の自然な流れの中で生じますが、温水便座器での肛門刺激になれすぎてしまうと、内肛門括約筋の働きが鈍くなり、温水便座器なしでは排便できない事になってしまいます。
便秘薬と同様、刺激になれてしまうことは、健康的な排便にとってはマイナスです。
- 危険な便秘とは
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便秘には、実は重大な病気が隠れている場合があります。
胃、小腸、大腸、肛門に疾患がある場合に起こるのが、器質性便秘。大腸がん、腸捻転などの重大な病気が原因となっている場合があります。また、精神的なストレスが原因で起こる便秘もあります。
次のような場合は、専門医の受診・検査をお勧めします。
- 便秘とともに、強い腹痛、吐き気がある。
- もともと便秘ではなかったが、急に便秘になった。または元々はそれほどでもなかったが、最近急に症状がひどくなった。
- 頑固な便秘で、様々な工夫を試みたが、なかなか良くならない。
- 子供の頃から続いている。
- 黒ずんだ便や、血が滲んだ便、灰白色の便が出る。
- 便秘と下痢を繰り返す。
- 便秘症になりやすいお薬
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お薬が原因で便秘を引き起こすこともあります。薬剤性便秘と言います。前項で自律神経の話をしました。活動的な状態の時に作用する交感神経と、一方で身体がリラックスしているときに作用するのが副交感神経です。そして交感神経が働くときにはアドレナリン、副交感神経が働くときはアセチルコリンというホルモンが分泌されます。
お薬のなかには、アセチルコリンの分泌を抑制する抗コリン成分を含むものが多くあります。アセチルコリンの分泌が抑制されると副交感神経の働きが弱まり、腸の蠕動運動が弱まりスムーズな排便が行われにくくなります。それは身体をリラックス状態から活動・緊張状態に向かわせる作用の現れでもあります。身体が緊張状態になると、トイレに行きたいという気持ちも薄れたり、鼻水も出にくくなります。緊張状態になるので身体から水分放出が抑える、というのが抗コリン作用です。この仕掛けを利用した薬剤が、抗コリン作用薬剤です。
市販薬では、鼻水を抑えるために総合感冒薬(風邪薬)に含まれています。そのほか、花粉症などのアレルギー緩和のために用いられる抗ヒスタミン薬、酔い止め薬にも抗コリン成分が含まれています。また、抗精神病薬や抗パーキンソン薬、抗うつ薬、酔い止め薬、睡眠薬、麻酔薬なども便秘しやすい薬剤です。
- 自律神経と便秘
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腸の働きは、自律神経によって支配されています。
自律神経は、自分の意思とは無関係に消化器や循環器・呼吸器の活動を、24時間支えています。自律神経の働きが乱れると、便秘の原因となります。
自律神経は、交感神経と副交感神経という、互いに反する作用を行う2つの神経から成り立っており、両者でバランスを取りながら、身体にとっての最適な状態を保っています。運動をしたり緊張すると心臓の動きが活発になり呼吸が速くなります。それは、交感神経の働きで、血流を増やして体内のいたる場所に酸素を送ろうとするためです。逆に心臓の動きをゆったりとさせ、身体をリラックスさせる時に働くのが、副交感神経です。
排便を促す腸の蠕動運動は、副交感神経によって支配されています。緊張やストレスばかりの状態では、交感神経が優位になってしまい、腸の働きが鈍くなり、それだけ排便されにくい状態が続くことになります。交感神経は主に昼間の活動的な時間帯に、副交感神経は夜の安静時にメインに働きます。両者がバランス良く交互に主役となって機能することが、スムーズな排便には不可欠です。
緊張やストレスの多い生活は、自律神経を乱す大きな要因です。自律神経を整えるために必要なのは、なんと言っても睡眠。質の良い十分な睡眠で、自律神経を整えることも、健康的な排便にとっては重要なことです。
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